唇が、覚えてるから
こんな現実を、どう受け止めろっていうの……?
だって私は、祐樹に会っていたんだよ……?
考えても、到底理解できることではなかった。
居るはずのない人が、目の前に現れるなんて。
霊感が強いわけでもない私に、幽霊が見えるはずがない。
実習で疲れていた、私の妄想……?
そんな一言で片づけられない程、祐樹と過ごした時間はリアルだった。
温もりも、触れた感覚だって。
夢だなんて、思いたくない……。
それから……
何がどうなっているのかわからないまま、数日が過ぎて行った。