唇が、覚えてるから
「ふわー。今日も疲れたあー」
寮へ帰ってベッドにダイブ。
どうして私って、いつもこうなんだろう。
これで矢部さんとの差がまたついてしまった。
矢部さんは優秀だし、もちろん注意されてるのは見たことない。
どんどん差がついて置いてかれるのを、ひしひし感じる。
自分は自分。
競うつもりはないけど、やっぱり同じ実習生として気になるのが本音。
桜杜の心象を悪くしてるのは、私かもしれない。
「そんなに落ち込むなって」
同部屋の真理が、私の肩をもんだ。
寮は2人部屋。
プライベートが必要だって言う人もいるけど、私は真理が一緒でものすごく心強い。