唇が、覚えてるから

もし私が本気で祐樹の元へ行っていたら。

お父さん、お母さん、お兄ちゃん。

真理や希美。

それから、きっともっと沢山の友達を泣かせてた。

それは悲しみの連鎖を生むだけ。


私の命は。

私一人だけのものじゃない。


……遺されたものは、精一杯生きて行かなきゃならないんだ。


最後の最後まで、祐樹は教えてくれた。

分かっているようで、普段は考えることもしない"生きる"ことの大切さを。
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