唇が、覚えてるから
だけどね。
そういうとき、私は決まってこう言うんだ。
「いるよ。すっごくカッコよくて優しい彼氏が」
いいよね、祐樹?
祐樹と過ごした時間も。
……そしてこれからも。
私は祐樹の彼女です。
体が
心が
唇が、覚えているから───…
私の前に現れたのは
確かに魂を持った、18歳の男の子──。
それは幻でも夢でもない。
私の記憶と心の中に刻まれているから。
『琴羽なら出来る』
その言葉を胸に。
私は
今日を生きていく。
【完結】