唇が、覚えてるから

家族にだってそれぞれの生活があったのに、それを捨てて私の為に東京を離れることを決めてくれた。

あの頃は小さすぎて分からなかったけど、それはとても大変なことだったはず。


綺麗な水と空気。

ゆったりと流れる時間。

おかげで症状も落ち着いて、今ではすっかり元気になった。


全部家族のおかげ。

すごく感謝している。


その恩返しに私が出来ることは、病気と闘っている人を、私がしてもらったように勇気づけたり、手助けすることだと思ったんだ。

小学校の卒業文集には、将来の夢に『看護師』と書いた。

その夢は、着実に実現へと向かっている。
< 6 / 266 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop