唇が、覚えてるから
プライド
祐樹に会わないまま何日か過ぎた。
その間も忙しい実習は続いているわけで、祐樹のことを考えている暇もないくらいだった。
「何やってるの!」
午後のナースステーション内は、その一言にシンと静まりかえった。
……ッ。
何度も聞いたこのセリフ。
また私、何かやらかした……?
備品整理も問題なかったし、カルテも整理もきちんと済ませた。
あー。さっき患者さんとついつい盛り上がっちゃったからかな……。
目を瞑って、ゆっくり声の方を振り返ると。
「どうしたの?あなたらしくないじゃない」
……。
そこにあった光景に、目を疑った。
だって、その矛先は私ではなく。
……矢部さん?