唇が、覚えてるから

「私だって毎日毎日勉強漬けで、寝る暇も惜しんで勉強してるのよ」

「……さすが」


そして矢部さんは私に目を向けた。


いつもの……。

冷ややかな……。


「だから……。
仕事もロクに出来ない癖に、人気取りみたいなことばっかりしてる人がいっちばんムカつくの!」

「や、矢部さん……」


それって、やっぱり私のこと……?

でもこの性分は生まれつきだし、人気取りをしてるつもりはないんだけど……。


「あなたみたいな人間は大っ嫌いなの!」


あはは。

はっきり言われちゃった。


さすがにちょっと、堪えるな……。

正面切って嫌いと言われた私は、どんな顔すればいいんだろう。



「けど………」
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