唇が、覚えてるから

「なんで諦めちゃうの?だってこれからでしょ?医大受験して落ちたわけでもないのに。ここの附属まで行って……ねぇ、どうして!?」


同じ道なら、一緒に働けるかも…なんていう下心があったからかもしれない。

これがラクロスの選手になるのを諦めたなんて話だったら、こんなに必死にならなかったかもしれない。

それはわからない。


けれど、とにかくまだ何も始まってない未来を諦めようとしていることが悲しくて。


「私には頑張れって言ってくれるくせに、祐樹はどうして頑張らないの!?」


勉強が難しいから?

キツそうだから?


そんなさみしいことを言う祐樹に、私は喝を入れるつもりで言い続けた。
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