ルーツ
扉の前でエレベーターが来るのを待つ裕未。



築20年の中古マンションを購入し、リフォームして移り住んだので
部屋の中はきれいなのだが、エレベーターなど公共施設の古さは隠せない。


重たいモーター音を響かせてエレベーターはゆっくりと上がってくる。


「嫌いなんだよなあ、このエレベーター」


裕未はこの陰気なエレベーターに乗るのが嫌いだった。
カメラが付いているとはいえ、薄暗いエレベーターは裕未には
とてもじゃないが安全な物とは思えないのだった。
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