ルーツ
これから赤ちゃんも生まれて来るのに、
変質者が出る、古いマンションにこれからも住まなくてはいけないなんて…




それにしても、あの男のメモ
どういう意味だろう…


私が妊娠していないなんて
しかも27才ではなく19才だなんて…



裕未は自分の免許証を取り出してじっくりと見る。



そこには確かに昭和55年生まれと書いた、裕未の顔写真が張られた免許証がある。
それに机の上には、母子手帳があり3ヶ月検診の時にとった子どもの超音波写真まで貼ってある。




まあ、意味不明なことを言うのが変質者ってものなのだろう。



メモに関してはそう心の中でかたずけられるが
もう一つ



「徹、あの後変質者に声をかけられた後ね
鏡を見たの…


そうしたら、鏡の中に私じゃない人が映っていたの
私、気が変になって来たのかなあ?」



その言葉を着た徹は、難しい顔をして裕未を見る。
その心配そうな眼差しが裕未には少しうれしかった。



「妊娠していると、体にいろんな変調が起こるらしんだ。
本で読んだんだけど


中には、心に変調をきたす人もいるらしいんだ。
心配だから今度医者に診てもらおうか」



徹の言葉にうなずく裕未。
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