ルーツ
裕未は柵を登りだし
とうとう前にさえぎるものが何もなくなった。




今、風でもふけば裕未は
闇の中に落ちてしまいそう。



「裕未さん!」



平野は叫ぶ。



何とかしてベランダの方へ行こうとするのだが
動けない。



脂汗を流し苦悶の表情で
平野は声を絞りだした。

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