ルーツ
第二話 独り言
木製のだだっ広いデスクの真ん中に
ポツンと置かれたメディア。



平野はそれをじっと見つめる。



ピースを懐から取り出し


くたびれた表情で
紫煙を天井に吐き出す。


やがて平野は
無造作にそのメディアを


パソコンのスロットに差し込んだ。



暗い部屋の中


パソコンの光で
平野の顔が様々な色に染められる。



やがて映し出される画面。



拘束着を着た男が
自由を奪われ


何もない部屋で一人
イスに座っている。



「とうとうしゃべり出しましたか…」



そう言って平野は
几帳面にピースを灰皿に捨てる。






「あのマンションの監禁事件が解決してから数か月。
やっと禁断の扉が開かれるわけですか…」







そういって平野は陰鬱な顔を
さらに曇らせる。


「さあ…徹君。教えてもらいましょうか…

あの事件の真相を…」


画面の中では男がぼそぼそと
しゃべりだした。










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