ルーツ
彼女は店先の掃除が終わると、いつもレジの裏で休憩をとっていた。


彼女はうつむいて何かを読んでいるようだった。
彼女が本を置いて離れたすきに、僕は題名をこっそりチェックしに行ったんだ。



「青が散る」 宮本 輝 作



僕はしめた!と思ったね。


宮本輝は僕も大好きで「青が散る」は何回も繰り返し読んでいた。
他の奴らは、小説なんて読まないガサツな男ばかりだったから


これは奴らより、一歩リードできるチャンスだと俺は思った。





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