ルーツ
ある日、勇気を出してレジの裏で本を読んでる彼女に話しかけたんだ。



「青が散るは僕も大好きなんですよ」



それから彼女との話は弾んだ。




小説のことからはじまって、趣味の話や芸能人の話
いろんな話をして、彼女と少し親密になれた気がして僕は心が躍ったよ。



しかし、ある彼女の一言が僕の高ぶる心に冷水をぶっかけた。



「この小説あいつが読めってうるさいから読んだんだけど
結構面白くて夢中になっちゃった」



お察しの通り、あいつって言うのは彼女の恋人で
本も恋人のものらしかった。





苦笑いを浮かべながら、僕は店を後にした。







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