【恋愛短編】味噌らーめん
女を忘れ、凄まじい勢いで麺だけを食べ尽くす。
麺がなくなり、スープだけになった丼。
スープの表面に、悲しげな顔をしているあたしが映っている。
「明日こそは子牛印のバターを絶対手に入れてやる! て言うか、スーパーの開店時間に行ってやる!」
丼にラップをかけて冷蔵庫に入れると、あたしはそう心に決めた。
――翌朝。
あたしは1限目の講義をサボって、スーパーの前に立っていた。
開店まで、あと5分。
開店セールを狙ったオバちゃんたちが列を作っている。
このなかに、あたしと子牛印のバターの仲を引き裂こうとする敵はいないと確信する。
「あれっ、おまえ……」
なんとなく、聞き覚えのある声。
隣を見ると、昨日あたしから子牛印のバターを奪った男が立っていた。