【恋愛短編】味噌らーめん
「……あやしい。絶対、あやしい」
眉間に思い切り皺を寄せ、ぶつぶつ言いながらも、あたしの右手はラーメンをしっかりと握り、そのまま買い物カゴへと投げ入れる。
1人暮らしのあたしにとって。
5つで98円のインスタントラーメンは、どんなにあやしくても、やっぱり魅力的だった。
「味噌ラーメンにはやっぱりバターとコーンでしょ!」
あたしのこだわり。
味噌ラーメン食べるときは、絶対にバターとコーンを入れる。
しかもバターは、子牛印のバター。
この味噌ラーメンのように、有名メーカーのものじゃないけど、安くてそこそこおいしいから気に入っている。
コーンは……別にどうでもいい。こだわりナシ。
子牛印のバターを求めて、乳製品売り場に移動する。
有名メーカーじゃないから、子牛印のバターは品揃えが悪い。
売り切れなんてあり得ないと思うけれど、万が一のために、とりあえず急ぐ。