【恋愛短編】味噌らーめん
乳製品売り場に到着すると、一番上の棚に置かれている子牛印のバターがあたしを呼んでいる。
『ここ! ここだよ! 最後の1個だから早く!』
うそっ、マジで!?
いつもあんた売れ残ってるくせに!
『そうなんだよ。珍しく売れちゃって。早く君のカゴに入れてよ!』
うっ、うん、分かった!
待ってて、いま行く……。
ラスト1個の子牛印のバターに手を伸ばした瞬間。
大きな手が横から突然現れる。
子牛印のバターはその手に連れられて陳列棚から脱出した。
「ちょっと!」
子牛印のバターをあたしより先に手にした相手を睨む。