YUKI˚*
そんなことが……
「……ごめん。覚えてない…」
「はは、そーだろーな。話しかけたときも、キョトンってしてたし」
ああ、まなみんとお昼食べてて
川村くんがいきなり話しかけてきたアレか…
「だからケンが来たときは焦ったよ。絶てー取られるって」
「川村くん…」
だから、あたしと須嶋くんのこと
ずっと心配してたんだね
「案の定。俺の方がずっと前から好きだったのにーって、思った」
あたしは、そんなことも知らないで
今までどれだけ川村くんを傷つけてきたんだろう
「でも、ケンといるときの白川を見て…」
川村くんはいつもの
あの優しい笑顔をした
「大丈夫だって、思ったんだ」
すごいって
思った
だって今まで川村くんは
どんな気持ちであたしたちを見てたんだろう
そう考えたら
「泣くなよ、白川」
「うぅ、ごめ…」
本当、なんであたしが泣いてるんだろう
悲しいのは川村くんなのに
「あと、白川も好きだったけどさ…俺にとってはケンも大切だったから」
そう言う川村くんを見て
そっか、そうだったね
あなたは名前の通り
本当に優しくて
あたしはいつもそれに頼ってばかりで
本当にこんな優しい人、他にいるのかなってぐらい
もしもあたしが須嶋くんに出会ってなかったら
あたしはあなたを好きになってたかもしれない
でもね
この気持ちは、何にも変えられない
「……あたしは、須嶋くんが好き」