YUKI˚*











あたしに肩に上着をかけながら




「じゃあね、ゆきちゃん」




まるでいつものように



また、明日も会うみたいにキミはそう言って




雪の中に消えていった











「………ゆき…….」




やっぱりまなみんには



わかっちゃうんだね




朝、学校に登校してくると


まなみんが先に教室にいた




「…昨日、須嶋のとこにいってきたんでしょ?」



少し遠慮がちに聞いてくるまなみん


ごめんね


そんな顔させて



まなみんには、ちゃんと言わなくちゃね




「……ダメだった…ははっ」


ふわっと


優しい、きしゃなその体に包み込まれた



まなみんに抱きしめられて、また涙が…



「ゆきは、頑張ったよ」


「うぅ〜…」

「よしよし」



抱きしめられて


頭を撫でられて



ごめんねまなみん


あなたの腕の中で


まだあたしは



須嶋くんの温もりばかり探してる




それでも


須嶋くんはもういないんだって



もう


いない……



いない?




ううん、



須嶋くんはいるよ



今もどこかにいて



ここにいないだけで



会おうと思えば、いつだって…





「…あたし、まだ…忘れられない」



「うん、すぐには誰だって無理だよ」



「…想ってるだけなら…いいかな?」


「…うん」



するとまなみんは、あたしを離して



瞳をじっと見つめた



「でもね、ゆき。いつか、須嶋以上にゆきを幸せにしてくれる人が、絶対に現れるから」



「…須嶋くん…以上?」



「そうだよ。須嶋じゃなくても、ゆきなら絶対、幸せになれるよ」



「…………」



須嶋くん


初めてあたしが好きになって


恋を知って



付き合って




ーー別れた人





須嶋くんじゃない人と



幸せになる日が、来るのーー?






川村くんは教室に来てたと思うけど


あたしたちの所へは来なかった






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