YUKI˚*








「須嶋?!へーもう現れてくれるとはな」



男はあたしを捕らえる腕を一層強くする






目の前に




いる



須嶋くんが





あたしはしばらく信じられなくて




もう二度と


会えないって



あれで終わりだって思ってたのに





やっぱり




来たんだね





でも



「………っ」


あたしは拳を握りしめる



危ないよ


いくら須嶋くんが強くたって



もう、ケンカはしてほしくない




"逃げて"



って言おうとして



「おっーと、余計なこと言うなよー?」



男に口を手で塞がれてしまった





「須嶋ぁー、コレがどーいうことかわかるよなー?」



男は挑発するように


須嶋くんにあたしを見せつける




やめて


嫌だ



須嶋くんの迷惑になりたくないよ




こんな風に



会いたくなかった





「この女がどーなってもいいんだな?」



そう言って、



男はあたしの腕を上に持ち上げる



痛いよ





でも



我慢しなきゃ



須嶋くん




お願いだからーーー





「勝手にしろよ」






ーーー…え?


今の言葉


言ったのは




須嶋くん…だよね?



低い声で




「は?いーのかよ、こいつお前の女だろ?」



「別に、もー違ぇーし。好きにすれば?」


そう男の人達に吐き捨て



そのまま須嶋くんは



何も無かったみたいに



あたし達に背を向けた





その背中を


もう



あたしの知らない背中を



ただ


見つめることしかできない







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