YUKI˚*

そんなこと思っていると、突然あたしの体はフワッと浮き上がった





「……え?」





あたしはお姫様抱っこされていた




もちろん、あの須嶋くんに





「わっ…ちょ、ちょっと!」


「はーいジタバタしない。落としちゃうよ」





……いぢワルだ




須嶋くんの一言に、あたしは大人しくするしかなかった





「おりこーさん」



そう言ってなぜか上機嫌になった須嶋くん



あたしはそれ以上彼の顔が見れなかった




俯いて、でもちゃんと須嶋くんにつかまっていた




あたしを抱っこしたまま屋上を離れた須嶋くんに



連れて来られたのは保健室だった




「あれ、先生いない」





そう言いながら、須嶋くんはゆっくりとあたしをベッドの上に降ろしてくれた




あたしはまだ須嶋くんをまともに見れなくて




でも、降ろされて少しがっかり…なんて




あたし何考えてるの


なんかやけに居心地が良かったんだ



うん、それだけ





すると、須嶋くんが奥から包帯を持ってきた





「とれあえず巻いとこっか」



「え、須嶋くんが?」



「うん」



「できるの?」



「俺しょっちゅう怪我してたから、こーゆーの得意」





自信満々に言う須嶋くん




それって自慢すること?



てゆうか、その怪我って



ケンカでだよね……





須嶋くんはあたしの足を包帯でぐるぐる巻きにした



「ちょっと足動かしてみて」



須嶋くんに言われた通り、足を前後させてみる




「あ……痛くない!」




すごいすごい!


怪我なんかしてないみたい!




「だろ?良かった」




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