YUKI˚*
「忘れなくて、いいじゃん」
「……え」
ユリちゃんはゆっくり
あたしの手をとった
「ゆきちゃんはもう、新しく見つけたでしょ?」
あっ、て
思った
違う
違った
ユリちゃんは
あたしの方が
まだ全然忘れられてないってわかってたんだ
だからあたしが
新しく踏み出せるならって
そう思って
ユリちゃんは素直になれなかったんじゃなくて
きっとすごく嫌だったとは思うけど
ただ単純に
あたしのために
あたしの方が
ユリちゃんに気を遣われてた
どうしてみんな
そんな
あたしのことばっかり……
あたしはユリちゃん
あなたのためにって思ってたのに…
また
涙が止まらなくなった
しきりに泣いた後
まなみんが先生を呼んでくれて
あたしはすぐに退院していいと言われた
「ごめんね……本当迷惑かけて」
「そんなこと言わないでよ、仕方ないでしょ」
あぁ、みんなは
いつかあたしがこうなることも、なんとなくわかってたのかな
あたしは
自分のことでさえもわかってなかった
「あと一週間ゆっくり休んでいけばいいよ。もう……雪は降らないみたいだから」
「うん、そうする」
もうみんなに心配かけないように
できるだけ笑った