YUKI˚*
「一人で帰れる?」
「もう!大丈夫だってばー」
「あっそ!じゃ、気をつけて帰ってよ」
歩き出しながら、まなみんに大きく手を振る
「ばいばーい!」
両手が荷物で塞がっているまなみんは
あたしに笑顔を向けた
一人で家路を辿りながら
ふと
そういえばこの道
高校に通ってた道だ、と思った
ひとつだけ
ポツリと寂しい自分の影
それを見ながら
なんとなく
このまま家に帰りたくなくて
だんだん歩幅は小さく
ゆっくりになっていく
それでも少しずつ足は進んでいき
遠くに
だんだんと自分の家が見えてくる
あたしは
すごく勘が鋭い
そう思った
だって
なんとなく、帰りたくないと思った
だんだんと、近づくにつれ大きくなっていく家
その家の前に
人影が見えて
最初は、お母さんが心配して外で待ってるのかなって
もう、心配しすぎって、そう思って
少し足を早めたけど
その足を、すぐに
止めた
え
え?
嘘
ウソでしょ
嘘だよ
ありえない
だって
まさか
そんな
そんなの
そんなことって
無い
あるわけ
「おかえり、ゆきちゃん」
………ない