YUKI˚*













なんであたしは


教室の前で立ち止まってるのだろう




………………



ええいっ開けてしまえ!




ガラッ





思いっ切り教室のドアを開いた



けど教室の中は話し声が賑やかで、ドアを開けた音も掻き消されてしまった




朝、まだHRが始まる少し前




ええっと……あの人は



「須嶋ならいないよ」



「そっかぁ……






って、まなみん!」




目の前に来たまなみんは、またニヤニヤしながらあたしを見てる




「べっ…別にあたし須嶋くんなんか……



「何言ってんの、教室中見回しちゃって♪」



「見回してなんかっ」



「はいはい、HR始まるよ」




そう言ってまなみんは自分の席に行ってしまった




……なんか丸め込まれたな




あたしも席に着いて



隣の席を見た




いないんだ……須嶋くん



昨日、須嶋くんは午後の授業には来なくて




学校が終わると、あたしはそのまま帰ってしまった




やっぱり、あたしが告白の後で逃げたりしたから来にくいのかな…




で、でも!今までずっと学校来てなかったわけだし



やっぱりいきなり毎日は学校来ないよね?




……不良なんだし





なんだかホッとした



須嶋くんがいたら、昨日のことを断わらなくちゃいけない



やっぱり言いづらい




でも早めに言わないとなぁ



須嶋くん、どんな顔するだろう




うぅ……胸が痛い





そんなことを思っていると、もうHRは終わっていた




次の授業は……体育か




「ゆきっ早く着替え行こ?」



まなみんが更衣室の方を指して言った




「あ、ごめん!この足だから…あたし見学!」





そう言って下手に包帯が巻かれた足を見せた




朝から自分で巻いてきたんだけど、須嶋くんみたいに上手くはできなくて



実は歩く度に少し痛みが走る




「あっ…そか、わかった。本当あんたはー気をつけなよ?」



「はーい」



あたしを心配しながら、まなみんは教室を出て行った




クラスみんなも行ってしまって、教室にはあたし一人



あたしも体育館に行かなくちゃならないんだけど……




あたしは少し足を気にしながら、教室を出る




手すりを使って階段を登り


向かった先は、体育館ではなく




屋上




建物のはしごを登り




なんだ………




やっぱりいるんじゃない




そこには、横になって気持ち良さそうに寝ている




……須嶋くん





< 15 / 172 >

この作品をシェア

pagetop