YUKI˚*







「おぉーゆき!久しぶりー」



「あ、久しぶりー!ユリちゃんも、この前はありがとね!」




「うん………なんかゆきちゃん、いい事あった?」




また地元を離れて戻ってきて



大学で最初に顔を合わせた




ユリちゃんが言った





「うん、まあいい事…かな」






やっぱり



あたし達はダメだった





でも、そんなことはわかってた





ただ今はもう




本当のことがわかって



須嶋くんの本当の気持ちがわかって、よかったと






これでよかったんだ



これでよかったんだね





たぶんまだ



苦しかったことを思い出すことはあるだろうし




須嶋くんという人も



きっとずっと




あたしから消えることはない




だけど





「なんかもう、すっきりした!」





思い出は思い出に




辛いこともたくさんあったけど



それだけじゃない




嬉しいことも



楽しかったこともたくさん





幸せな思い出がたくさんあった






悲しいことの方が心には強く残るのかもしれないけど



いつかそれさえも





優しい思い出に、できるように







「……そっか。なんかよくわかんないけど、よかったね!」




ユリちゃんがそう言ってくれるから




「うんっ」





あたしはもう



これで本当に大丈夫




だから、次は




ユリちゃん



まなみんと川村くんも



幸せなれるといい





祈るよ




今ならなんでも



できそうな気がする







ここからが



また新しいスタート






「あ、次の講義行こう?」



踏み出した足は



今までより軽かったと





思うから








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