YUKI˚*
はやく
出てきてほしかった
だってすごく寒いんだもん
「はぁー…」
ため息混じりに吐いた息は白い
まだ冬は終わってないんだな
もう一度入り口を見るけど
誰かが出てくる気配はなかった
「はぁー…」
またため息が出て
でもあたしは一人電柱の下、店の前で
ユリちゃん達が合コンを終わらせて出てくるのを待ってた
ユリちゃん達には内緒だけど
やっぱりユリちゃんを放っておけなくて
なんか
来ちゃったんだ
て言ってもただ、外で凍えてるだけだけど
あたしがまいてしまった種なら
じっとせずにはいられなかった
だからユリちゃん
はやく戻ってきて
そして気づいて?
やっぱり悠斗くんじゃないと
ダメなんだ、って。
ガサ
と、音がして振り返った
真っ暗闇の中に
何も、なかった
安心して胸を撫で下ろしながら
怖くなった
こんな時間にこんなところで一人
最近、近くで変質者が出たって聞いた
……もう、帰ろかなぁ
ユリちゃんは心配だけど
でも
ユリちゃんが他の人を選ぶなんて、思えない
あたしがこんなとこにいたって意味ない
よし、もう帰ろう
そう思ったときだった
「今日は本当楽しかったー!」
「うん!ありがとー」
みんなが
店の中から出てきた
あたしは咄嗟に、電柱に身を隠す