YUKI˚*







足早に一人道を歩く



さっきの言葉が頭から離れない



何度も何度もこだまする




『次はお前らの番だぞ!』






みんなまだ



あたし達がどうにかなると思ってる?




無理だよ



あたし達はユリちゃん達と違う




無理だよ



無理なんだ




そんなのもうわかってたし、今更なのに



幸せそうな二人を見てたら



なぜか



胸の高鳴りが止まらなくて




足の速さも止まらない



落ち着け



落ち着くんだ




あたしは自分のケータイを取り出す



何か違うことを考えようと、画面に触れる



明るくなった画面を見て



あたしは気づいた




「あ、そういえばまなみん……」



まなみんからの着信が



もうずいぶん前にきていたことを忘れていた




たいした用じゃないのかもしれない



でも、一応かけてみよう




気持ちを落ち着かせるためにも、あたしはまなみんに電話をかけた




3コールで出た



『もしもし?』



「あ、まなみん?ごめん、電話きてたの忘れてた」



『ああ、ゆき忙しいもんね。ごめんごめん』



「で?何だったの?」




『……別に、たいした用じゃないからもういいよ』





あたしはまなみんの親友だよ



わからないわけ



なかった




「…どうしたの?」



『…………』




「まなみん……」




すると電話の向こうで息を吸う声が聞こえた




『……振られたよ』



「…………え?」




一瞬、意味がわからなかったけど



でもすぐに理解した




『言ったよ、あたしちゃんと。でも……ダメだった』



「……………」



『それだけ』




ああ、あたしって




なんて馬鹿





「……今、どこにいる?」



『え?』



「家にいるの?」



『いるけど…


「今行くから!」




耳から話したケータイから、少し声が聞こえたけど



気にしないままに切る





そして走った





ごめん


ごめんねまなみん




なんで気づいてあげられなかったんだろう



大事なのに



大事な友達なのに




自分のことで精一杯だった





一番辛いときに、話を聞いてあげられなかった






もう遅い



でも



今、行くから



だから





待ってて。まなみん





< 164 / 172 >

この作品をシェア

pagetop