YUKI˚*
海岸が見えてくると
あたしは心の準備をした
彼はいるだろうか
でももう来てしまった
前もこんな雪降る海で
あたしは君に
別れを告げられたの
雪が降ったこと
もし君がいるなら
あたしはそれを
運命だと、信じます
浜辺に足を踏み入れると
あたしは
また涙が出そうになった
運命、信じるよ
彼はゆっくりと振り返る
「……なんで…」
驚いてた
でも暗くて、表情が見えないから声でしか判断できない
「なんでここに…」
「雪が降ったから」
「……え…」
「ここに、いるかもと思って」
「…………」
黙ってしまったら
もう、声でもわからない
「ねぇ、須嶋く
「あんなこと言っといて俺…ここに来るのおかしいよな」
あぁ、また
この感じ
「ごめん」
そう言って背を向ける
何度その背中を見つめただろう
何度も追いかけられなかった
だけどもう
見てるだけなんて
嫌
「……離して」
「嫌だよ」
須嶋くんの服の端を
さらに強く、あたしは掴む
「このままでもいい、今度はあたしの話を聞いて欲しい」
須嶋くんは
もう、動こうとはしなかった
「……須嶋くん、言ったよね?自分は黒であたしは白だって、あたしの白を汚したくなかったって」
「…………」
「違うよ」
ずっと
思っていたこと
「黒って、全部の色が混ざってできた色なの。須嶋くんはあたしに、色んな色を見せてくれたの」
雪が
白い
「須嶋くんがあたしに色んなこと教えてくれたんだよ!」
「………っ」