YUKI˚*




でもでもでも




これからふるはずの相手に


無神経に勉強なんか教えるほど、あたしはばかじゃない



それに、少しでも順位が上がるチャンスをあげるわけにはいかない





「勉強くらい自分で……



「へぇー?そんなこと言っていいんだ?」



須嶋くんがあたしの目を見据える



ヤバイ…この瞳は……




「頑張って告白して、オッケーもらったのに取り消されて…」



たんたんと話し出す須嶋くんは




「その上、条件付きとか言って振り回して…」








「散々期待させといて、俺の気持ちもてあそんで…



悪魔だ

「あぁーわかった!教えればいんでしょ?!教えれば!!!」




結局先に折れたのはあたしだった



でも




「須嶋くん家は嫌だからね!」



百歩譲って勉強は教えるとしても



男の子の家に行くなんて……


絶対無理!!!





「えー?だって図書室とかはダメだろ?」



「え、なんで?」



「ゆきちゃん睨まれんじゃん」




「………っ!」



こ、こいつ



知っててあたしに突っかかってたのかー!



「とにかく!だからって須嶋くん家には行かないからっ!!!」



「じゃーどこですんの?」



どこって…


近くの喫茶店とかあんまり無いし


たぶんうちの生徒がいるだろうし…




うーん…















「意外とごちゃごちゃしてんね」


そう言って須嶋くんは



あたしの部屋に腰を下ろした





なんで



こんなことになってしまったんだろうーーー…






『じゃーどこでするの?』






『…………あたしの家…とか?』






あたしがあんなこと言ったから……



結局そのままあたしの家には須嶋くんが来てしまい




なのにいつまでも勉強道具なんか出さずにくつろいでいる須嶋くん





「ほらっ、勉強するんでしょ?!」



あたしは勝手に放ってあった須嶋くんの鞄をとって、教科書を取り出そうとした




入ってなかったけど……いや、そんなことより





背中にまわる手の感覚が




ーーまた……





「もうっ!須嶋くん?!」




さっきからこの男はーー!!!





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