YUKI˚*
……ウソ………でしょ?
今日は、テスト結果が出される日
朝、登校してきたばかり
壁一面に貼られた順位表を目の前に
あたしはア然とする
「きゃ〜〜!!!1位見てよ〜?!」
「やっぱカッコ良いいと頭も良いんだね〜〜っ!!」
周りの黄色い声が耳に痛い
なんでなんでなんでなんで
なんで1位が……
「須嶋くんなの〜〜っ?!?!」
そう、須嶋くんは10番内どころか
1位だった
「はは、白川声大きい」
見ると、川村くんが笑いをこらえながらあたしを見ていた
「だって……須嶋くんが1位なんてありえないよ」
「……何言ってんの?白川」
え?あたしおかしなこと言った?
「ケンが1位なのは当たり前だよ」
……は??
「入試だってアイツが1位だったんだぜ?」
「嘘!……だって新入生代表は川村くんだったもん」
「あれは、ケンがやらなかったから2位の俺が代わりにやったんだよ」
そんな……
「でも!今まで学校来てなくて、勉強全くしてないのに……」
「入試のときもアイツは全く勉強してなかったよ…」
そんなぁ……
じゃあ、須嶋くんは元々
天才だったってこと?
だ
「騙されたぁーー!!!」
それじゃあ、須嶋くんと付き合うのは
ほぼ決まってたようなもんじゃん!
条件の意味が無いよ……
須嶋くんの余裕の笑みが頭に浮かぶ
バカはあたしの方だった
「……白川…大丈夫?」
そう言って川村くんがあたしの頭を撫でる…
その前にギュッ…と
後ろから抱きしめられる
そんなの、見なくても誰だかわかる
「……ケン」
川村くんが呟いて、やっぱりと思う
……須嶋くん
「ちょっ…離してよ!」
抵抗しても、固い腕でガッチリ縛られる
「なんで?今度こそ俺等…恋人だろ?」
後ろから聞こえる、嬉しそうな声
「……うん」
だって
そういうしかないじゃん
だけど、川村くんは
「おいケン、白川嫌がってんじゃないか?」
そんなことを言ってくれた
「ううん、約束……したから」
約束は、守らないと
「白川……」
川村くん、なんでそんな悲しい顔するの?
「優、大丈夫っつったろ?心配すんな」
須嶋くんは対する笑顔で
あたしに片手を差し出した
ああ、そんな笑顔で喜ばれたら
全部許してしまう
あたしはその手に自分の手を重ねて
教室まで一緒に行く
川村くんは、心配してくれたんだね
でも、大丈夫だよ
だってあたし後悔してない
この手も、嫌じゃない
恥ずかしくて言えなかったけど
言えばよかったね
そうしたら
あなたがそんなに傷つくこともなかったかもしれない
でも、このときのあたしは
まだ何も知らないの