YUKI˚*



ねぇ



あたし達は付き合ってるけど



いいのかな、このままで




すぐに終わると思っていたのに



あれから、もう半年になろうとしている




いいのかな、あたし



こんな須嶋くんをもてあそぶような……








屋上で一人、ため息をこぼす



ぼんやりと景色を眺めていた




須嶋くんの笑顔を見るたび


胸が痛む



別れるべき?



でも、約束した



『条件をクリアしたら付き合う』




はぁ……



またため息がこぼれる




「どーしたの?」



突然話しかけられて、肩がビクッと跳ね上がる



屋上にはあたししかいないと思っていたのに…


誰なんだ



「あ!悠斗くん…」


なんか悠斗くんとは、屋上でよく会うなぁ……




「さっきため息ついてた」



やっぱ聞いてたか…



「はは、2年になったら勉強とか大変でさぁ…」



悠斗くんには、須嶋くんのことは言えないよね



心配かけちゃいけないし



「ふーん?」



「ゆ、悠斗くんは?屋上に一人で来るなんて何かあるんじゃないの?」



すると、いきなり悠斗くんが笑い出した



え?あたしなんかおかしなこと言った?




「ははっ、あーごめん。前にも同じようなこと言われたなーと思って」



そーだっけ



あ、なんか『あたしが話聞いてあげる』とかなんとか言ったんだっけ



思い出すと……恥ずかしい




「でも実は、あれでけっこー助けられた」



「え?」



急に悠斗くんが真剣な顔になる



「今さらだけど、聞いてくれる?俺の話」



「…うん」




ゴクリと、つばを飲み込む





「彼女に振られたんだ」



悠斗くんは、遠くの景色を見ながらさらっと言った



「幼馴染で、俺はずっと好きだったんだけど……相手に他に好きな奴ができて」



悲しい顔になる



もし、あたしが須嶋くんをふったら


こんな顔をするんだろうか



「はは、たかがそれだけだけど」



「ううん!そんなことない」



あたしは首を思い切り横にふった



「うん。俺にとってはすごい重大なことで」



少し、辺りが



「白川が止めてくれなかったら、もしかしたら本当に落ちてたかも」



暗くなった




悠斗くんは笑ってるけど、笑ってない



「でも、他に好きな人ができたんだ」



その続きを、聞きたくないと思った





「白川さんだよ」



どうして



「あんなこと言われたの初めてで、正直ウザいって思ったけど」



そんな顔でそんなこと




「好きになった」



笑ってるけど、笑ってない


「あ、あたし彼氏が……」



と言いかけて次の言葉が出てこない


彼氏がいると、はっきり言えない自分がいることに



今気づいた




あたし、どうすればいいの?
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