YUKI˚*







ぽけー



「何、ぽけーっとしてんの!」



「…わっ」


ま、まなみん……



「最近ゆきずっとそんな感じだけど、大丈夫?」



「はは…」



まなみんには笑って見せたけど


どうしよう……



悠斗くんのこと


あれは、告白…だよね



返事はするべき?


でも、悠斗くんも何も言ってこないし



それに



悠斗くんは本当に、あたしのこと好きなのかなぁ



好きと言ってくれたときの


悠斗くんの顔を思い出す



あれが、好きな人にする顔?



あー…須嶋くんのことで悩んでたのにもっとごちゃごちゃしてきた




「あんた本当に大丈夫?!」



横にいたまなみんがまた心配してくれる



「…まなみん」


まなみんに相談しようかなぁ?



前にも須嶋くんのことで何回か話聞いてもらったけど



でも、今回のことは前と違って重い


前みたいに簡単に言える話じゃない



悠斗くんのことも、人の過去をそう簡単に言っちゃいけないだろうし……





「なんでもないよ!大丈夫」


まなみんには、笑ってそう言うしかなかった



これ以上心配かけられない


迷惑もかけたくない



「そう?もー、だったらそんな変な顔しないでよね!」



まなみんがあたしの顔をびーっと引っ張る



「ひはひひはひっ!わはっははら〜」
(痛い痛い!わかったから〜)




そう言って、まなみんは引っ張るのをやめてくれた



頬をさすりながら、なんとなく悠斗くんを見る



ばちっ



目が合って


あたしはすぐに空してしまった




あ……感じ悪かったかな





あーもー!こんなんじゃーこれから、やっていけないよぉ…



「帰るぞ」


と、急に須嶋くんの声が聞こえてびっくりした



「あ、うん!」



そう返事をして、もう、それが当たり前になっている自分に気づく



でも、それがいいことなのか、悪いことなのかはわからなかった



ただ、今は急いで鞄を肩にかける



「じゃーまなみんバイバイ」


「ばいばーい」



悠斗くんの方は見ないように、教室を出た






のはいいんだけど



「須嶋くーん!」



「…………」



「おーい」



「………」




?なんか今日は須嶋くんの機嫌が悪いみたい


歩くスピードも早くてあたしは小走りになる


仕方ないから、あたしは須嶋くんのうしろを並んで歩くことにした




どうしたの



もしかして、あたしの今の気持ち



須嶋くんに対してはっきりしていないこの気持ちが



伝わってしまったの…





「健人くん?」



女の子の声がして



須嶋くんが急に立ち止まるから、あたしはその背中におでこをぶつけてしまった



「……ユリ」



さっき須嶋くんの名前を呼んだ女の子に、須嶋くんが話しかける





『ユリ』って、誰?



見るとその子は他校の制服を着た、あたし達と同じ高校生だと思う



「やっぱ健人!久しぶり〜!!!」



「おぅ」


「せっかく会ったんだから、今からあたしの家に来ない?」



その言い方はあきらかに



……誘っているもので



須嶋くんが、今まで色んな女の子と関係を持ってきたことは



知ってる



だけど



彼女がいるあたしの前で、そんな話……




「ねー!行こーよぉー!」



『ユリ』さんは、須嶋くんの腕に絡みついてかわいい声を出す



とてもかわいい人だと思った



けど



チラッとあたしと目が合ったような気がした




須嶋くん


あなたは何て答えるの



「あーまた今度な」



断ってくれた


だけど



また今度って何?


いつかその子の家に行くの?


あたしがいるのに?



わからない


須嶋くんがわからない




「どーぞ!今から行けば?あたしのことは気にしないで!!!」



気がついたらそう言って走ってた



後ろから、須嶋くんのあたしを呼ぶ声がする



でも、振り返れない


なんなのこの気持ち



あたし


おかしくなっちゃった




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