YUKI˚*




結局、須嶋くんのことを避け続けて




週末



家に居ても頭を駆け巡る


悠斗くん



須嶋くん




あの女の人『ユリ』さん




「…………ダメだ!」



じっとしてたらそのことばかり考えてしまう



ちょっと、外に出ようかな



行く当ては決めていないけど、


とりあえず近くにあったジャケットを着て家を出た



それでも外は少し寒くて



でもそれが、今のあたしには心地よかった


家にいるときより無心になれて




このまま


何も考えずにどこまでも行けそうで




気づいたら


歩いているのは全然知らない道だった




そこで目にとまったのは喫茶店みたいな小さくてオシャレなお店



こんなお店、家の近くにはない



せっかくだし入ってみようかな



帰りに道を聞こう



そう思って、少しためらいながら中に入ってみると



内装も思った通りシンプルだけどオシャレ



あたし、ここ好きだなー



こんなお店が見つけられるなら、たまには遠くまで散歩してみるのもいいかも



あたしは窓際の、一番奥の席に座った



とりあえずカフェオレを注文して、外の景色を見ながらそれを待っていた




「お待たせしました」


と男の人の声で、カフェオレが届いたことに気づく



「あ、ありがとうござ…




言いながらカフェオレを受け取ろうとして



あたしは愕然とした



だって




せっかく、嫌なことを忘れようと思ってこんなところまで来たのに



「…白川」



「…ゆ、悠斗くん?!」




カフェオレを持ってきてくれたウエイトレスさんは、



悠斗くんだった





「白川!服!」


あまりにも驚きすぎて、



悠斗くんに指摘されるまで気づかなかった



あたしは、カフェオレを零してしまっていた



「…あーー、ちょっとこっち来て」



悠斗くんは少し呆れたような声で、あたしの手を掴む



あたしはもう、何がなんだかわからなくて、



ただ、悠斗くんに手を引かれてお店の階段を上る



掴む手は須嶋くんより柔らかくて



なんでここで、須嶋くんと比べるんだろう




お店の二階に着くと、悠斗くんは濡れたタオルをあたしの服に当てて



シミにならないように丁寧に



男の子なのこんなことができるなんて、と少し関心してしまった




けど、やっぱり気まずいのに変わりはない



あたし、この人に告白されたんだ



考えないようにしていたことが、また溢れ出てくる




「よし、これでいーだろ」



悠斗くんの声で我に帰り


服をみると、綺麗に元の色に戻っていた



「…ありがとう」



悠斗くんの顔は見ないで



声も小さくなってしまった




正直、今、会いたくないひとの一人が悠斗くんだったから



あたしは「避ける」ことしかできなかった







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