YUKI˚*





「白川って、意外とおっちょこちょいてゆーか、危なっかしいよな」



「…え?」



突然、悠斗くんがそんなことを言って



あたしは聞き返すしかなかった




「だってそーだろ?初対面のときもいきなり飛びついてきてぶっ倒れるし」



「あ、あは…」



そーいえば、それで足を怪我したんだ




「面白いけど。…気をつけろよ」


「面白いって!………うん」



あたしが気まずいのわかって、


和ませようとしたんだなっていうのがわかった




悠斗くんは少し奥の洗面台に向かいタオルを洗い出した



気を遣わせて悪かったかな


よく考えたら、告白して避けられるってすごく嫌なことだよね




なんだかすっごく悪いことをしてしまったように思えて、



「…あの、悠斗くんはここでバイトしてるの?」



次はあたしから話しかけた




「あ、バイトってゆーか…ここ俺ん家」



「え…あ!そーなの!」



へーー。ここ悠斗くん家なんだ。家の手伝いしてるなんてえらいなーー。



ーーん?

悠斗くんの家??



「ここ、俺の部屋」




……やっぱり?




よく見ると、部屋の中は生活感のある、まさに男の人の部屋だった



…あたし、男の子の部屋入るの初めて…



てゆうか、大丈夫なの?



仮にも、あたしのこと好きだって言った人の部屋にまんまと上がってるあたし



でも


何かされる気がないのは、なぜだろう?




コトッ…



変に緊張し始めていたあたしの前に



悠斗くんはカフェオレを置いた




「もー零すなよ」


「…え、いいの?さっきのはあたしが勝手に零しちゃったのに…」


「うちのカフェオレ、美味しいよ」



あたしの言葉なんかさらっと交わして



でもそれはあたしのためで



そんなところが少し



須嶋くんに似ていると思ってしまう




「俺は甘いの飲めないんだけどな」





カフェオレは甘くて美味しかった


これが飲めないなんて悠斗くんは可哀想だ



須嶋くんに飲ませたかったなぁー、

なんて




カフェオレを飲み終わり


あたしはそろそろ帰ることにした




「ありがとうございました!またお店来るね!」



今度はしっかり悠斗くんの顔を見て言った




「よろしく。家の玄関から出ると近いよ」




悠斗くんが玄関まで送ってくれた




「じゃあ、こっち道行けば通りに出るから。気をつけてな」



やっぱり


何もなかった



ほら、やっぱり


この人はたぶん、本当はあたしのことなんてーー





「健人くぅーん!もう帰っちゃうの?」



いきなり聞こえてきた声に


あたしが反応しないはずがなかった



今のは……



「帰るよ」



悠斗くんの家の隣の家



玄関から出て来た見覚えのあるあの子と




須嶋、くん?







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