YUKI˚*





週末もあけて


学校が始まっても相変わらず



須嶋くんも休み時間になるとあたしに会いに来た




だけどあたしは



須嶋くんが教室に来る前に教室を出ては、見つからないように隠れていた



だから、学校では一切須嶋くんと会わなくなった





だってもう、あたし達は付き合ってない



彼氏でも彼女でも、なんでもない



だから会う必要なんてないのに……




きっとしばらくしたら



須嶋くんも諦めて教室に来なくなるだろう





須嶋くんが横にいなくても、あたしは全然平気だった



当たり前だよね


元々あたしは須嶋くんのことなんて



好きじゃなかった、でしょ?






「別れたの」



そう言ったとき、二人は本当にあたしを心配した



まなみんも川村くんも



大袈裟だなぁ、て思って




だってこれは必然的なことだよ


いつか別れるなんて


分かりきってたこと



でもそれを最近忘れていた


自惚れてた




まだ間に合う


だって元に戻るだけ



それだけ





でも、川村くんはいつまでも納得しない顔をしていた





最近ではもう当たり前のように


空き教室でまなみんと休み時間



まなみんも付き合わせちゃって

悪いなって思う




「ゆき、遊ぼう!」



「……遊…ぶ?」


予想外のまなみんの言葉に少し驚いた



「うん!久しぶりにパァーッと」




笑顔でそう言うまなみんを見て



あぁ、心配かけてるんだ


って



無理に笑わせてしまうぐらい


あたしは平気なのに



あたしって


最低だね




「うん、行こう!」


あたしが笑わないわけにはいかない




そのとき


しまったと思った




「ゆきちゃん」



こんなところまで来たの?


須嶋くん…






逃げなきゃ



そう思う前に

「待てよ」



腕が須嶋くんに掴まれたところだけ


ジリジリする



「……離…して」


「ゆきちゃん、俺は


「嫌だっ!聞きたくない!!!」




何を言われるのか


わからなかったけど



きっとこれを聞いたらあたしは


傷つく



そう思ったから



大きな声を出して


須嶋くんが少し動揺したそのすきに



あたしは手を振り払って




逃げた




「ゆきっ…!」




あたしの名前を


呼ばないで












「まさか、あんなことになるなんて思わなかったよ」




屋上で悠斗くんと二人



悠斗くんは遠くを見つめながら言った



「はは、なんかゴメンね」


悠斗くんは関係ないのに、巻き込んでしまった




「ユリはさ、俺と付き合ってたときもアイツと会ってたんだ」



アイツって、言い方が


なんかトゲがあるように感じた



悠斗くんは須嶋くんのこと、あまりよくは思ってないのかな



そうだよね



彼女を、取られたんだから



「まぁ、最近は会ってなかったけど」



最近……あたしと付き合ってから?




でも



「この前は会ってた」


その事実は変わらない



「はは、俺たちなんか似てんね」


切なそうに笑う悠斗くん


だって切ない



あたしたちは、捨てられたの?






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