YUKI˚*
どこに行こうか


そんな話をしながらまなみんと二人


学校からの帰り道を歩いていた




すると遠くに小さい人影が見える


近づいて行くにつれ、それが誰だかあたしにはわかった


だから、どうしても行きたくない



でも、


「白川…ゆきさん?」



彼女が用があるのはあたしみたい


なんであなたがここにいるの?



ーー『ユリ』さん



「話があるの」



そうやって真っ直ぐあたしを見る


須嶋くんが選んだ人



あたしじゃなくて



「…ゆき、誰?」


まなみんが不思議そうに聞いてくる



「まなみん、先に帰ってて。後で家に行くからそれから遊ぼう」



「…う、うん」



少し納得いかないみたいだったけど、まなみんは帰って行った




「ここだとアレだし、どこか寄りませんか?」



というユリさんの言葉で、あたし達は近くのカフェに来た



ユリさんはミルクのたっぷり入ったカフェオレを頼んだ


そんなところも、本当に女の子らしくて


きっとこんな子を悠斗くんも須嶋くんも



男の人は好きになるんだろうって




「話って何ですか?」



あたしがそう聞くと、ユリさんは飲んでいたカフェオレを置いた


「あなたは……悠斗と付き合ってるの?」



え?



悠斗くん?




「……付き合ってないです」



てっきり



須嶋くんのことを聞かれると思ってた





だけどあたしはそれ以上に驚いた



ユリさんは泣いてないけど


今にも泣きそうなくらい、目に涙を溜めていた




「ゆきさんは……ズルい」


それでも、涙を流さずにあたしを見る



「あたしが、ズルい?」



「悠斗も健人くんもみんな、あなたを好きになる」



それはさっき


あたしがユリさんに思っていたこと




「お願いだから……もうこれ以上、あたしから奪わないでよ!」



必死に堪えていた涙は、もうユリさんの頬を伝っていた



「もう、あたしには健人しかいないの…健人だけが…あたしに……」


目の前で泣くユリさんを見て



あたしは



「ユリさん、ごめんなさい。あたし…あなたのことわかってなかった」






< 43 / 172 >

この作品をシェア

pagetop