YUKI˚*
やっぱり川村くんは今日もいない
学校には来ているんだけど
昼休みになるとすぐどこかへ行ってしまった
そして今日は須嶋くんもあたしの教室には来なかった
やっと、諦めたんだ
「前は二人でも全然普通だったのにね」
「え?あたしは普通だけど」
そんなこと言ってまなみん
寂しいって顔に書いてある
「そんなことより、ゆき」
急にまなみんが真剣な顔になった
「……な、何?」
なんだか、聞きたくないような
でも聞かないといけない
「……須嶋のことなんだけど」
今まで、あたしに気を遣って須嶋くんの話は一切しなかったまなみん
まなみんがあたしの気持ちを優先してくれてることはわかってた
それが嬉しかった
だから
「うん」
ちゃんと聞こう
「ゆきが決めたことなら、あたしは何も言わない。……でもね」
「うん」
「ゆき、逃げてるように見える」
……………
「ゆきらしくない」
まなみんの言ってることは正しかった
……図星だった
でも、そう思いたくなかったんだ
まなみんの言う通り
あたしは逃げていた
だから今、
決めたよ
「……ちゃんと話す、須嶋くんと」
まなみんの瞳を見てはっきりそう言えた
「頑張れっ」
まなみんにも詳しいことは話してなかったのに
なんでもお見通しだね
本当はずっと思ってた
このままじゃダメだって
まなみんのおかげでちゃんと向き合う勇気が出た
「頑張るよ!」
お弁当を食べ終わったら、須嶋くんに会いに行こう
そしてちゃんと
『別れる』