YUKI˚*
ちょうどお弁当を食べ終わって、
今から須嶋くんの所に行こうとしていたときだった
「白川さん、ちょっといい?」
突然悠斗くんに呼ばれた
「あ……まなみん、ちょっと行ってくる!」
「次、移動だからねー」
「うん、ありがと」
悠斗くんについて行って
着いた場所はやっぱり屋上だった
悠斗くんとは、あたしが振ってしまってから一度も話してなかった
一体、何の用があるんだろう
須嶋くんのことは放課後でもいいかな
ふと
屋上のドアの横にあるハシゴが目に入った
そこを登ったら
須嶋くんがいて
寝顔を見ていたりしたんだっけ
今は、そこに彼はいないのに
「……白川さん」
悠斗くんの声ではっとした
「あっ、ごめん!…用って何?」
「…………」
返事をしたけど、悠斗くんの様子がおかしかった
ただ、あたしをじっと見つめて
「……悠斗くん?」
そう彼の名前を呼んだとき
あたしは強い力で体を引かれて
………!
キスをされた
「……やっ!」
咄嗟に悠斗くんの胸を押し返して
悠斗くんはその場に倒れ込んでしまった
「わっ、ご…ごめん!」
急いで悠斗くんに駆け寄る
何がなんだかわからなくて
ただ、悠斗くんがおかしい
「はっ、俺を心配してんの?……本当お人好し」
おかしい
悠斗くんは、駆け寄ったあたしを押し倒した
「今、自分がどういう状況かわかってる?」
わからない
わからないよ
悠斗の顔が近づいてくる
「…いやっ……」
違う
悠斗くんはこんなこと
「動くな」
その声は、最初に屋上で会ったあのときみたい
本当は悠斗くんだってこんなこと
だって今
すごい悲しい顔してる
「……お願い」
何か言わないと
悠斗くんにおかしいって気づかせないと
でも
頭に浮かんでくるのは
今あたしが
望んでいることはーー
「助けて!須嶋くんっ!!!」
来てくれるわけないのに
って思ったそのときには
もう
目の前で
ずっとあたしが思ってた人
なんで
なんでいるの
須嶋くん
来てくれた