YUKI˚*
「ってぇ……」
悠斗くんは須嶋くんに殴られて、その場に倒れこんだ
「てめぇ、白川に何してんだよ!」
そう言って須嶋くんがまた腕を振り上げる
あたしは起き上がって、後ろから須嶋くんに抱きついた
「須嶋くんっ!もういいよ!いいからっ……」
「ゆきちゃん……」
須嶋くんはゆっくりと腕を降ろしてくれた
そして須嶋くんの腰に手を回しているあたしの腕にそっと
須嶋くんの手が重なる
ああ、きっと須嶋くんの服はびしょ濡れだ
涙が止まらない
「来てくれて…ありがとう……」
須嶋くんの背中に顔を埋めて言った
見えなくても
今どんな顔をしているかわかる
「………ゆきちゃんが呼んだから」
優しい顔
「でも……なんで?」
どうして須嶋くんは来てくれたの?
そう思ったとき
バンッ
と勢いよく屋上のドアが開いて
そこから出てきたのは……
川村くん?
と、ユリさん?!
「…ユリっ!!なんで……」
一番にそう言ったのは
上半身だけ起こした悠斗くんだった
「…っ悠斗!」
悠斗くんの姿を見て、ユリさんが駆け寄る
「……大丈夫?!」
「そんなことより、なんでお前……」
悠斗くんは本当に意味がわからないといった顔をしている
あたしだってわからない
なんで須嶋くんも川村くんも、ユリさんまでここにいるの?
「それは、俺が説明する」
そう言ったのは川村くんだった
少しの沈黙の後
「実は…
「待って!」
口を開こうとした川村くんを
ユリさんが止めた
「……あたしが……あたしが話す」