YUKI˚*
ユリさんは、悠斗くんから離れて
須嶋くんの前まで来た
「ごめんなさい。あたし、健人くんを利用した」
え……
どういうこと?
「あたし、悠斗が好き」
その言葉に驚いているのは
あたしと悠斗くんだけだった
でも、ユリさんの瞳は真っ直ぐで
あぁ…そうだったんだね
すると、ユリさんはあたしに向き直った
「悠斗とケンカして、道端で泣いてたあたしに健人くんが声をかけてくれたの」
ユリさんの瞳を
今度はそらさないでちゃんと見る
「健人くんと会うようになって、好きだなって思って……だから、悠斗と別れて……」
「でも、違ったんだよな?」
川村くんが優しくユリさんの話を繋ぐ
「そう。なんか、健人くんと悠斗って似てる部分があって……そこにあたしは惹かれたんだと思う」
それは……あたしもなんとなくわかった
前に、意地悪だけど優しいところが
似ているとあたしも思った
「でも、悠斗に似てる健人くんじゃなくて……やっぱり悠斗がいいって思った」
「ユリ……」
あ、
わかった今、悠斗くん
とても切なそうにユリさんを見てる
ユリさんは須嶋くんと別れて
もう一度悠斗くんのところに行こうとした
でも、あたしが……
あたしがいた
「健人くんのせいで別れることになったんだって言って、無理矢理一緒に居てもらったの」
ユリさんの頬には、涙が流れていた
そして止まらなくなった
「本当に…本当にごめんなさいっ……ごめんなさい……」
あたしも、もう限界だった
ユリさんに歩み寄って
そっと抱きしめる
「ありがとう、全部話してくれて。辛かったね、苦しかったね、もう…大丈夫」
「ゆき…さっ…」
あたしはユリさんを離して
悠斗くんの方を向かせた
「悠斗くんも……もう、大丈夫だよね?わかってるよね」
「あぁ、わかった」
そして、悠斗くんが立ち上がった
「ユリが好きだよ。ずっと」
「え……ウソ……」
ユリさんは泣きながら、言葉を失っていた
「ウソじゃないよ。あたしに告白してきたときも、全然そんな感じじゃなかった」
「ごめん、俺…ユリを取られて須嶋を逆恨みしてたんだ……」