YUKI˚*
「まさかね〜〜」
「…………」
「"変な人"が須嶋くんだったなんてね〜〜」
「………………」
「運命みたいね!」
「……なんでそーなるの!!!」
まなみんの妄想を遮るあたし
朝のSHRが始まって
今日初めて学校に来た須嶋くんは、先生に呼ばれて職員室に行ってしまった
すんごくダルそうに
須嶋くんが教室を出て行ったのを確認して、まなみんの妄想は始まった
まなみんたらドラマとかの見過じゃない?
運命どころか
出会いは最悪で
なんか雰囲気変わってるし
てか席隣だしー!!!
「はぁー……」
「何のため息?」
うっ……
この男の声は……
「まっ…須嶋くんっ!」
まなみんが「きゃ〜〜っ!」と叫ぶ
「俺が慰めてあげよーか?」
「……結構です」
もう帰って来たんだ……
なんでこんなあたしに突っかかって来るのか
そんなことを思いながら軽く受け流していると、廊下から
「おーい、ケン」
男の子の声がした
そこには
スポーツ万能、成績優秀で知られている川村 優(かわむら ゆう)くんがいた
確か入学式のとき、新入生代表で挨拶してた……ってことは、
入試1位だったんだ
てか、「ケン」って須嶋くんのこと?
名前が"健人"だったっけ
「はぁ…次から次へと……」
須嶋くんは溜息まじりにそう言いながらも
当たり前のように川村くんのところに行く
んん?二人は一体……
まぁいっか
助かった〜
須嶋くんから解放されてホッとして
その後ろ姿を見ていると
彼は振り返ってあたしの方を見た
ドキッ!
て、何これ
「昼休み話あるから。屋上来て」
それだけ言って、川村くんと何処かへ行ってしまった
え……なんで?
なんであたしが昼休みに
須嶋くんに会わなきゃいけないの?
「告白ね」
悪魔の声があたしの耳元で囁く
まなみんのニヤニヤした顔
もう今日は見飽きたよ……
美人が台無し
てか"告白"って……
「もうっ!そんなわけ無いでしょーが!!!」
「昼休みに来いなんて、告白しかないじゃん〜〜♪いいなーゆきは!」
「もぉ……」
ダメだ……話題を変えないと
そこで、さっき少し気になったこと
「ねね、あの二人って仲いいのかなー?」
須嶋くんと川村くん
まなみんは情報網だから知ってるかもしれないと思った
「中学は同じだったと思うけど?」
で、やっぱり知ってるのね
「へー、なんか真逆って感じ」
「でも、女子人気高い川村とイケメンヤンキーの須嶋っていいよねー♪」
い…イケメンヤンキー……
「…そ、そーなの?」
「もう女子の中で川村派か須嶋派かって言ってるみたいよー?」
「早いね……」
「ゆきは女子に睨まれてるしね」
「えっ……??」
そーだったの!?全然気づかなかった
てか、やば…
「大丈夫。ウチが睨み返してるから」
さらっと笑顔で言ったまなみん
恐るべし
でも心強い
まなみんと友達でよかった
こんなときそう思う
それにしても……
あの二人、ホントどういう関係なんだろう
そう思って教室のドアをずっと見ていたけど
彼は来なかった