YUKI˚*
そう言った須嶋くんの顔は
本当に嬉しそうだった
「…そっか!」
それを見てると、あたしもなんだか温かい気持ちになってくる
「…やっぱり、俺の思った通りだった」
「え?」
「ゆきちゃんは、きっと温かい家族に囲まれて幸せに暮らしてきたんだろうって……」
そう言った須嶋くんは
さっきとは少し違って
悲しさが含まれているような
『須嶋くんの家は?』
って聞こうとして
やめた
あたしは須嶋くんに後ろから抱きついた
「…ゆきちゃん、くすぐったい」
こういうことを言うのかな
愛おしい
大丈夫だよ
大好きだよ
幸せにしてあげる
あたしが
側にいて
ずっと一緒にいる
そんな気持ちを込めて
あたしはずっと目の前の人を抱きしめていた
本当に
そう思ったんだよ
このとき
なのに
「…ケーキ食べよっか」
そーだ!ケーキ♪
二人でテーブルの前に並んで座る
あたしは、さっき買ってきたばかりのケースを上げて
パッと開いた
「わ!うまそー!!!」
ケーキを見るなり須嶋くんが言う
思った以上の反応で、あたしもとても嬉しかった
「でしょー?見つけて即買っちゃった♪」
そのケーキは、たっぷりの生クリームの上に砂糖が
まるで粉雪のように散りばめられていて
綺麗で
とっても甘そうだった
「よし!食べよー」
切り分けて二人分の皿に乗せる
「「いただきまーす」」
口の中に広がる生クリームは
やっぱり甘くて
でも、
「美味しい!」
「うん、美味いな!」
須嶋くんがすごく美味しそうに食べてくれたから
その隣で、あたしもさらに美味しく感じた
あのときの幸せな味を
あたしは絶対忘れない