YUKI˚*








でも冬は



まだ始まったばかりだった








「よかったじゃーん☆」



教室に入るなりまなみんの一言


ああ、あたしってなんでこんな顔に出ちゃうんだろう



朝からにやけが止まらなくて、一応鏡でチェックして来たんだけど




昨日のキスのことを思い出すと


あぁーもうダメだ。




「まなみーん?"おはよう"は?」


「おはよー☆」



もう、まなみんったら…


絶対あたし達のこと面白がってんでしょ






そして昼休み。



「で、カンジンの須嶋は?」


まなみんが呟く



昼休みになっても須嶋くんが来ない




ということは?



「今日は休みだって」


川村くんがわざわざ言いに来てくれた




そっかぁ



この前も休んでたけど、何かあったのかな




「なーに、あからさまにガッカリしてんの」


まなみんに呆れたように言われた




だって…


昨日の今日だから、会いたかったんだもん




なんて



そんなこと思ってないで、気づくべきだった




「はは、見せつけるよなー」


川村くんの渇いた笑いに



何かが



起こっていることに




幸せがずっと続くなんて



そんな甘いこと




あるわけないんだって





あたし、幸せぼけしてたんだ



人のSOSに気づけることがあたしの唯一の特技だったのに




一番大切な人のSOSに


気づけないなんて




このとき少しでも気づけていたら



何か変わってた?





ううん


きっと変わらない




何度繰り返しても



どこかで思い返しても



一年後



あたし達は








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