YUKI˚*
「わぁー、さぶー…!」
「ほんと、いきなり寒くなったなー」
須嶋くんが吐いた息が白くなって、消える
それを横目で見ていると、須嶋くんと目が合った
どき
まだ慣れないあたし。
須嶋くんは、繋いでいた手をあたしの手ごと自分のコートのポケットに突っ込んだ
「あったかい?」
「うん!」
「てか、ゆきちゃんのが手ぇあったかいなー」
「えー、普通女の子の方が冷え性とかで冷たいのにね。なんでだろ」
「心が冷たいからじゃない?」
「ちっ…違いますー!心の温かさが滲み出てるんですー!」
そうやってあたしが膨れると、須嶋くんは隣でぶはっと笑った
だけど微笑んで
「そーだな。あったかいよ、ゆきちゃんは」
握る手に力が込められた
須嶋くんーー…
「ちょっと急ぐ?優たち待ってるかも」
時計を見た須嶋くんにそう言われてハッとする
そーだった
あたし達初詣でにみんなで行くんだ
「そーだね!早く行こっか!」
繋いだ手も温かくて
あたし達は急いだ
「おっそーい!」
「ごめんごめーん!」
神社に着くと、まなみんと川村くんはやっぱりもう着いていた
「俺らもう終わったし、お前らも早く参拝してこいよ」
「あ、わかったー行ってくる!」
そうして、須嶋くんと列に並んだ
並んでる人はもう少ないから、すぐに順番は来そう
「須嶋くんは何お願いするのー?」
「俺しない。ゆきちゃんだけすればいいよ」
「え?」
須嶋くんが普通にそう言うから、あたしは思わず横を見た
「なんで?」
そう聞くと、須嶋くんは少し下を向いた
笑いながら
「俺が神様にお願いしても、今まで叶ったことないから」
どうして
そんな淋しそうなの
須嶋くんーー…
「お願いしたいこと、ないの?」
そんなことしか言えなかった
「あるよ」
「……何?」
「ゆきちゃんが幸せになれますよーに。」