YUKI˚*






え、


開いちゃうの?



思わず後ずさる





開いたってことは、須嶋くんは中にいる?


寝てるのかな?



そう思って足を玄関まで踏み入れた


「須嶋くーん!あたし!ゆきだけどー」



呼んでもやっぱり返事はない




奥の方で寝てるのかな?


そう思ってもっと足を中に踏み入れると



パタン、と


ドアが閉まった




……入っちゃった



「須嶋くーん?入ったよー」




そう言いながら靴を脱いで家に上がった





……普通のアパート、だよね


ここで何がわかるって言うんだろう




そう思いながら少し奥に進むと、リビングらしき部屋のドア



「須嶋くんここー?」


そう言って、ドアを開く






そこであたしは







「………な、コレ……」




言葉を失った





目の前に広がる光景は



何?




椅子も、テーブルらしいモノも


食器とか何かよくわからないモノも




とにかくグチャグチャに散らばって



割れて、壊されて





泥棒でも入ったのかってくらい



でも、泥棒でもわざわざモノを壊していくわけない





これは



須嶋くんがやったのーー?





『行ったら見ることになるよ』



ーーこの光景を?






無惨に散らばった部屋を前に



あたしはただ立ち尽くして





わからない



よく、わからない





これは一体、何を意味するの?



これで何がわかるの?



何をわかれっていうの?





頭が追いつかない



ちょっと、ちょっと待って。




これはまず、須嶋くんがーー





「何やってんの?」









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