YUKI˚*








背中が、凍りつく




「何やってんの?」





後ろから聞こえるその声は、確かに



あたしの知ってる声だけど




でも、これは



いつもと違う


低くて、鋭い



怖い人達を相手にするときの





須嶋くんの声ーーー






あたしは振り向けない



何か


いけないものを見てしまったような




でも、須嶋くんの強い力によって、無理矢理振り向かせられた





「なんでここにいる?」



「…………」



何も言えない





「なんで……下向いてる?」



「……………!」



須嶋くんの顔が見れなかった


どんな顔をしてるか、怖かった




でも、須嶋くんがあたしの顔を両手で挟んで上に向けさせた




ああ、ダメだ……



「……ごめ…っ…」




涙が溢れる




ああ、あたし嫌われたかも



須嶋くんはこの部屋を見て欲しくなかったんだ


なのにあたしはーー




須嶋くんがため息をついた



呆れた…?




「……なんで泣いてんだよ…」



もうダメだって、そう思ったのに






ぎゅ





突然やわらかい温かさに包まれた





え…今あたし



須嶋くんに抱きしめられてる?






「須嶋くん……怒ってない?」



恐る恐る聞いてみる



「なんで?怒ってないよ」



その声は、いつもの須嶋くんの声だった


さっきの声はあたしの気のせいだったのかな




「あ、でもちょっと怒ってるかも」


「え?!」



うそ…やっぱり嫌われーー



「一人でこんなとこまで来たんだろ?危ないじゃん」



えーー?





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