YUKI˚*








思わず、須嶋くんから目をそらしてしまった




「ゆきちゃん、恐い?俺が」



そう言われて



前、アイスを一緒に食べに行ったときのことを思い出した



あのときあたしは



『須嶋くんが………恐かった…っ…』



そう言ったんだ


須嶋くんはアレを気にしてる……?




あたしは下を向いたままだけど、首を横に振った




「…でも、震えてる」



そう言って須嶋くんが、あたしの肩に触れる



そのときビクンと肩が跳ね上がって


あたしは



恐いの?



モノを壊したり、人を殴ったりする須嶋くんを想像しようとして


嫌だ、考えたくないと思ってしまう



あたしは、恐いの?





「……ごめんな」





なんで須嶋くんが謝るのか




わからなかった







やっぱり


聞けない




あたしには勇気がない



須嶋くんに嫌われたくない



内容が恐い





あたしは



弱い







「……送る」



そう言って玄関までさっさと行ってしまう須嶋くんが




なんだか



すごく遠い






外はまだ雨が止んでなくて



あたし達は相合傘をして歩いた



すぐ隣の触れられるぐらいの距離に須嶋くんの肩があるけど



でも、決して触れない




この距離がーーー





そして、歩いてるとき


須嶋くんは一言も喋らなくて




あたしも



二人で無言で歩いてる





気まずい



気まずいけど




離れたくない





横で


バレないように


必死に堪えていた




泣かないように









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