YUKI˚*
あたしらしくない
かける言葉が見つからないなんて
だってあたしは
弱っている人
傷ついている人がいたら
迷わず何も考えずに走っていって
放ってなんて、おけなくて
違う
須嶋くんは違うんだ
あたしが今まで出会ったどんな傷ついてる人よりも
彼は
深い傷を負っている
でも
でもね
須嶋くんはあたしに言ってくれた
過去のことを
今まで引かれていた境界線を少しだけ
ゆるくしてくれた
心を開いてくれたんだ
須嶋くんがーーー
やっぱり
やっぱりダメだ
こんなの、あたしらしくない
何を言ってあげればいいとか
そんなことどうでもいんだ
あたしが思ったことを言わなくちゃ
須嶋くんが自分から話してくれたんだから
今度はあたしが
話を聞いてもらう番!
そう思ったら、もう居ても立ってもいられなくて
あたしは走り出した
須嶋くんが帰ってだいぶ時間が経っちゃったけど
須嶋くんが家に
あの部屋に帰る前に
今から追いかければまだ間に合う?
走って
走って走って
今までこんなに走ったのは初めてなんじゃないかってくらい
ただがむしゃらに
キミを追いかけるーーー
そして見えた
その背中
「〜〜っ須嶋く…!」
息が切れて、かすれた声だった
それでもちゃんと
キミには届いた
「…っどうしたの?大丈夫かよ?!」
走ってあたしの目の前まで来てくれた須嶋くん
あたしはその須嶋くんの両手を、自分の両手で包み込むように握った
そしてその手をじっと見つめる
「…須嶋くんあたし、好きなの」
「…は?」
須嶋くんは唖然とした感じで
でも、あたしの気持ちを思ったことを
伝える
「須嶋くんのことが大好きなの!」