YUKI˚*
ガチャ
下でドアが開く音がして目が覚めた
見るとそこにはやっぱり、あいつがいた
白川ゆき
キョロキョロ辺りを見回して
俺は屋上の建物の上にいるから、気づいてないみたいだ
ちょっとイジワルしてやろ
そのまま声をかけずに、困った顔の白川を見つめる
別に特別美人ってわけじゃないけど
肌は白いなー
まぁ、女なんて化粧すればみんな一緒だけど
そーいえばあいつ彼氏とかいんのかな
いたら落とすの無理じゃね?
あいつぜって一途って感じだし
いや、俺なら大丈夫だろ
つか、絶対落とすし
そんなことを思っていると
もう白川が帰ろうとしていた
おっと
「ゆ〜きちゃん!」
急いで上から顔を出す
白川は
黙って俺の顔を見た
「……あぁ、顔の傷?すぐ治るよ」
「……っあ!いや……」
いいかけて目をそらして黙ってしまう
俺は下に降りた
目線がだいぶ近くなる
けど女の白川と俺なら、見下ろす感じになる
「話ってなに?」
さっきまで目ぇそらしてたくせに
いきなり見つめられると、俺は言葉に詰まった
なんか、こいついちいち調子狂うんだよなー
まー今回はそこが面白いんだけど
「…髪…綺麗だな」
そう言って白川の髪に触れた
お世辞で言うこともあったけど
そいつの髪は本当に、指を通せばすぐ解けた
「…あの、」
少し顔を赤くして、困ってる白川は可愛かった
「俺、長いの好きだよ」
そう言うと、白川は耐えられなくなったのか
俺から顔をそらした
俺は白川の髪を少し引っ張る
それで、
白川は怒るか恥ずかしがるか、どっちにしてもまた
俺の方を、向いてくれると思った
けど白川はそのまま全く動じない
へー、やっぱ俺の思い通りにはならないわけね
手で無理やりこっちを向かせようか
そのままキスでもしてやろーか
そんなことを考えてたとき
「……あっ」
これからってときに、白川の何かに驚いたような声で
俺の次の行動は遮られた
何なんだよ
「あれ、向こうに人いない??」
白川が指さす方を見ると、向かいの校舎の屋上に人影が見えた
「いる?だからどーした…」
言い終わらないうちに
白川が走り出した
「ちょっ…どーしたんだよ?!」
「あの人、やばいかも!」
白川はこっちも見ずにそう言って
走って行ってしまう
…ったく
ほら、やっぱ
面倒くせぇ
意味もわからないまま
仕方ないから俺も追いかけた