君に捧げる夏
そして、今日も元気よく俺は遅刻して出かける。

俺達は待ち合わせ場所の空き地に集まってから、皆で仲良く登校という形で2ヶ月ぐらい過ごしていた。

大体、あの姉妹が一番早く来て、先輩が二番目、俺が三番目だな。

一番遅いのが俺だが、特に問題はないはずだ。



「あ、おっそぉーいっ。あんた一体何時間、人を待たせるわけぇ?」

「うるせーありえない髪の毛している姉妹」

あの自己紹介をした本人であり、美羽の双子の姉でもある美緒が紫の瞳で俺をにらみ付ける。

どーでもこいつらの髪の毛、姉が紫で妹が青ってなんなんだよ。

本人は地毛なんだから仕方ないじゃん、とか言っているけどそんなんで通る世界じゃあるめーよ。

さっさと黒で染めてこんかい。

「あんだと、てめー調子乗ってると一生“クソ眼鏡君二世”って呼んでやるぞ」

「はいはい分かった分かった。……ってか俺眼鏡かけてないんですけど」

「関係あるか、ぼけぇーっ!!」



「そこまでにしておけ、美緒。うるさくて本が読めないじゃないか」

本に熱中していた美羽が、嫌々口を開いた。

「本なんて読むから悪いんだ。いいから私を見ていなさい」

「誰がお前なんか見るか」

ぷい、と視線を本に戻す美羽。

それを見て美緒は、うむむと唸りだした。

「幼稚園で習ったよね、人と話すときは人の目をみましょう」

「はいはい」

しかし、美羽の視線は変わらない。

「美羽、私を見てっ、私だけを見てっ!! お願いだから見てっ。でなきゃ私寂しくて死んじゃうよぉ……」

「お前はシスコンか……」

「はい」

「肯定するな」

「うぅ……ひどい……ひどいよ……」

電柱に体を預けて、しくしくとうそなきを始める美緒。

しかし、放置プレイを心に決めている俺達にとっては、んなことやられてもどうも思わない。

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